ポイズンちゃんの炎上にみるインフルエンサーの敵

SNSYoutube等での情報発信が当たり前になってきた昨今、付随するように炎上というものもしばしば起こる。

フォロワー数が多ければ多いほどファンが多いと言うこともできるが、様子見や行動監視としてフォローしている層も一定数いて、失言や倫理観に反する行動などを発信してしまうとその層を中心に一気に燃え上がる。

炎上自体は珍しくもなんともないことだが、今回あるインフルエンサーの炎上をひと通り目にしたので、自分なりの所感を書いていきたいと思う。

一個人の感想であり総意ではないことを前置きとして置いておく。

 

Twitterの1アカウント、ポイズンちゃん。

twitter.com

現在フォロワー30万人をこえる人気アカウントで、彼女のフォロワーは殆どが女性だ。

というのも、彼女の発信スタイルが「女が嫌いな女あるある」「女がうんざりする男あるある」などを、名前の通り毒でもってばっさり斬るスタイルが人気を博したからである。

特に人気があるのが「LINEものまね」シリーズで、「こんなやついるよね」と思わず頷いてしまうようなやりとりが共感を呼んだ。

 

彼女は二冊本を出していて、その一冊はこの「LINEものまね」をまとめたものだというところからも、このシリーズの人気ぶりがうかがえる。

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そんなポイズンちゃんが炎上ということは、吐いた毒が強かったということか?ちょっと言い過ぎたとか?

違う。彼女はアパレルブランドを立ち上げ、第一弾としてワンピースを公開したところ、彼女にとって初めてと言ってもいい大炎上を引き起こしたのだ。

まずは画像を見てもらおう。

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これがまずプチ炎上した。

というのも、このワンピースは「骨スト大優勝ワンピ」と告知されていた。そして出てきたものがこの「骨スト大事故ワンピ」だったのだ。

「骨スト」とは骨格診断で「ストレート」の人を指す言葉だ。少し前に、主に女性の間で「パーソナルカラー診断」という自分に似合う色と似合わない色を把握してメイクやファッションの参考にするものが流行ったのだが、骨格診断はその体型バージョンとも呼べるものである。

pin.it

細かくみるともっとタイプが別れるのだが、大きいくくりだと3分類。どの体型も良いことばかり、悪いことばかりではなく診断結果による良い・悪いはない。

ただこの「ストレート」タイプは比較的腰が高く足が長いのが利点ではあるが、ウエストが太めで全体的に厚みがあるため痩せても華奢にはならず、着ぶくれもしやすいことで悩む女性が多いのも事実だ。

芸能人では橋本環奈、石原さとみ深田恭子などがストレートタイプなのではと噂されている。

話を戻すが、ポイズンちゃんの打ち出した「骨スト向き」のワンピースは、骨ストが着るには厳しいものだった。

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詳しく説明すると長くなるので割愛するが、太くごつく見えてしまうのが一番の問題だ。

肩幅を強調するようなデザインと、短いウエストを高くマークしてしまったことによる太見え、細い足を隠し太めの腰から広がることでずっしりして見えるフレアスカート

着用モデルのような細さでも太く、ガタイよく見えてしまうのだから一般人には厳しい。

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着用モデルのインスタグラムより。こういう体にフィットするワンピースはストレートタイプ向きとされている。

それだけなら「骨スト向きじゃないじゃん」という批判のみで終わる。

だがポイズンちゃんは、荒れ始めた最悪のタイミングでツイートを追加してしまった。

 

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「ちなみに、これが私!」というものである。

モデル着用画像にも似たものがあったが、こちらの方がスタイルがよく見える。

というのも高ヒール、まとめ髪と、腰をひねってつま先をこちらに向けるポージングで、華奢見えが可能となっている。もちろん元がそれなりに良くなければどうしようもないので、ポイズンちゃんのスタイルが良いのは事実だろうが、タイミングが悪かった。

確かにこのワンピースで華奢見えが可能なようにも思う画像だが、不評を察知したタイミングで、

大事故を起こされてしまった着用モデルとほぼ同じ角度で、最も華奢に見える条件で撮ったものを「ちなみに私」と追撃したことで、「マウントではないか」という疑惑が出てしまったのだ。

「モデルよりスタイルがいい」などのコメントにいいねをしたり、「髪は美容師にしてもらった」などと嬉々として返信していたのも火に油を注いだ。

そして批判が相次いだのだろう、サブアカウントで「お気持ち表明」がなされた。

画像

画像

これが完全な悪手だった。

彼女の主張を要約すると、「骨スト向きではないという意見が多く出たから、プロジェクトを失敗させないために別のモデルとして私の画像を出した。モデルも私もそれぞれ良さを認めて欲しい」というものだ。

プロジェクトの責任者としては微妙な発言ではあるものの、主張だけならそれらしいことを言っているようにとれるが、マウントかどうかはかりかねていた層にも「本当にマウントだったのでは?」と思わせてしまった。

このままだとプロジェクトが失敗するから私の画像を出せばOK→自分の着用画像のほうがいいと言っているようなもの

「顔で言えばモデルさんの方が」→顔の話を突然持ち出す。スタイルは勝っているかのような言い回し

と解釈されてしまったのだ。

実際お金が発生するビジネスでプロジェクトを失敗に導くようなマウントをしようとするとは常識的に考えられないので、ポイズンちゃんが本当に「私の方がスタイル良いってわからせてやろう!」と自分を載せた訳ではないだろうが、心のどこかで「私の方が写りいいな・・・」と思っているのがにじみ出てしまったように思う。

上記の説明の通りなら特に言及する必要のない「私です」という主張をしたことに対する疑問の声もみられた。

そして、普段は他人を攻撃するアカウントで、「言外に自分が可愛いとにおわせる女」や「マウントをとる女」などを攻撃してきたというのも問題だった。

「こういう女っているよね」「こういう女は最悪」などとつぶやき、「本当!嫌だよね!」と共感を集める。つまり彼女のフォロワーの大半は「マウントをとる女」が嫌いでマウントに敏感な女性たちだ。

そのフォロワーたちに向かって「ちなみに私!」と自信満々にマウントともとれるつぶやきをしてしまったら、真意はどうあれ炎上するのは当たり前なのである。

ポイズンちゃんが普段から「みんな可愛いし私も可愛い!」などと発信するアカウントであればここまで大きくならなかったと思われる騒動も、この普段とのギャップがすさまじい「お気持ち」により大炎上し、さらに批判を集めることとなった。

騒動に気づき自分の画像も「お気持ち」も削除したポイズンちゃんだったが、批判への返信の内容と、擁護するツイートに対するいいねもずれていて鎮火させることができない。

プロデューサーといってもおそらくフォロワー数の多さに目をつけた企業への名前貸し程度で、実際にイチから制作に携わった訳ではないだろう。

しかし、「私が作ったワンピース」という責任者のテイで売るのだから、「どんな写真が上がってくるかわからないから私に判断は無理」「写りがよくなかった」などという制作陣に責任を押しつけるような発言は控えるべきだ。たとえそれが本当であっても。

そして「わざわざマウントとるためにプロジェクトやるわけないじゃん」「モデル選び失敗した感はあるけどワンピは可愛いから頑張って!」等のツイートに本アカウントとサブアカウントの二つからいいねをつけていることが露見し、

特に「モデル選び失敗」ツイートをわざわざ二つのアカウントからいいねしたことで、「モデルを馬鹿にしている」「結局服は悪くないっていうのが本音じゃん」と最大級の燃え上がりを見せた。

きっかけはワンピースの告知に見合わない出来だったが、最終的な燃料はモデルをどこか軽視したような発言や行動の数々にあったといえる。

 

そうしてどうあがいてもワンピースが売れなくなったのではと思われたとき、ポイズンちゃんからとうとう謝罪があった。

あのワンピースは発売中止になったようだ。ここまで完成しておりあとは売るだけといったタイミングで作り直すことが可能なのかという点に驚いたが、このままでは売れるとは思えないため苦渋の決断だろう。

ただ、先ほど「謝罪があった」と書いたが、彼女が謝っているのは「ワンピースが発売できなくなったこと」だ。

もちろんきっかけはそこではあるのだが、現在彼女が批判の渦中にいるのはワンピースが原因ではない。制作に携わったスタッフを蔑ろにするような行動にある。

批判を受け、ワンピースに関するいいねはすべて解除されたが、ここまで炎上するきっかけになったモデルへの発言等への説明や謝罪は現在もなされていない。

謝罪ツイートのあと音沙汰がなく、このツイートにも返信はないが、サブアカウントでの「お悩み相談」への回答は黙々と投稿している。

 

一連の流れを傍観して感じたのが、共通の敵を作ることで人気を獲得してきたアカウントは「人気者」ではないということだ。

ポイズンちゃんのツイートはどちらかというと人間の闇を現しているものであり、一般的に「裏垢」や「愚痴垢」で人々がこっそりつぶやきストレス発散をするところを、表だってみんなの意見として愚痴ることで「私だけそう思ってたんじゃなかったんだ」という安心感を与えることに成功した。

もちろんそのやり方が嫌いな人もいるが、そういう人はそもそもフォローをしないので炎上まで行くことはなかった。

ただそうして獲得したフォロワーの大半は「ポイズンちゃん憧れる!」と思ってフォローしているわけではない。自分が普段感じているストレスを、代わりに悪者になって文句として発信してくれるから面白く、都合が良いだけである。

共通の敵を具現化し、みんなで叩く。これがストレス発散につながるから見ているのであって、彼女が「私のようになりたかったらこれを買ってね」などとPRをしても、「いや別にあなたになりたいわけじゃないし」と思ってしまう。

ファッションモデルや美容系インフルエンサーとはわけが違うのだ。

これは集めたフォロワー層の違いであって、彼女自身の問題ではないが、ポイズンちゃんはこのフォロワーを「私自身のファン」と勘違いしてしまっていたように思う。

「女の敵」をつくって人を攻撃することで生きてきた彼女が、突然「みんな可愛い、それぞれの良さを認めて」などと言い出したら総スカンをくらうのは必然と言っていい。

それもあり、最近のポイズンちゃんの連投するPRに「求めてないけど・・・」とうんざりしていた層が、今回水を得た魚のように一斉に敵に回り叩いたのも当然の流れだったのかもしれない。

 

インフルエンサーと一口に言えば本当に大勢いて、それぞれにファンがいる。

しかしそのファンがインフルエンサーに何を求めているかは同一ではなく、彼らがどのようにファンを獲得してきたかに起因する。

そして求められることを無視し続け、ファン層を裏切るような事をすれば、良くてファン離れ、悪ければ今回のように仲間が敵になる大炎上を見せることになるのだ。

フォロワー数が多いからと安易にPRを持ちかける企業も、一度吟味し直してみるべきかもしれない。

 

結局制作やりなおしというところに落ち着いた本件だが、一番の炎上理由に沈黙を貫いていることで、完全に鎮火したとはいえない。

「そもそもアパレルを求めてない」という意見もあるが、応援メッセージも多く寄せられているので、完成したものがどうなるかはポイズンちゃんの今後の対応にかかってくるだろう。

今度こそフォロワー層を間違えた選択をせず、真摯に良いものを作ってくれることを願うのみだ。